僕はいくつもかけている

出来の悪い姉

不自由な体

能力のなさ

あげていけば切りがない

全てどこか欠けて何か足りない

だから僕は不幸だ

出来の悪い姉(ねーちゃん)はすぐに大切なことを忘れる

さっき話したこともすぐ忘れるし

歩くのは遅いし

何かに特化しているわけでもない

やはり兄弟だな
そう感じる瞬間がたくさんある

でもねーちゃんは僕の身の回りのことをしてくれる

ご飯だって作ってくれるし

掃除だってしてくれるし

洗濯だってしてくれる

どれもなんとかって感じだけども

欠けてる僕には丁度いい


そんなねーちゃんが今病院のベッドの上でぐったりしている

車いすに乗った僕を弱々しい手でおいでと手招きする

言われるままにベッドに近づき

「どうしたの?」と声をかける

いつもと様子が違うねーちゃんが更に近寄るように軽く手を引く

少し頑張って立ち上がると

ねーちゃんは僅かに力を増して僕を引っぱり

そして優しく抱き寄せ耳元で最後の声をふり絞る


「かける? あなたの『かける』は、『欠ける』じゃないよ。駆ける方の、『かける』だよ」


ぽろりと

しかし確実な一言が口から出る

「母さん」


その瞬間世界が変わりとてもリアルに別の現実が押し寄せた

その時全てに気が付く


違う(ねーちゃんは母だ)


ずっと守ってくれていた人

大切な人を失うのだと

抱きしめられた瞬間

全てが終わり全てが始まるのだと気付く


「かける、もう自分をゆるしてあげて」

そういって去った



姉は幻想

僕は全てを思い出した
それは現実と向き合った瞬間だった

あの事故がリアルによみがえる

僕の人生は絶好調だった

素敵な妻と歩き始めたばかりの2歳の娘がいた
最愛という言葉が足りないくらい愛していた

遊園地に行く途中だった

それは一瞬だった

目の前に逆走してきた車が現れた

なんで?

疑うまもなく僕たちは車から投げ出された

記憶はほぼない

世界がまわり、ふたりが飛んでいくのが見えた

それが最後だった


僕も頭を強打し体も不自由になった
もぬけの殻になり物事が理解できなくなっていた

妻と娘の死をまわりが遠慮しながら伝えてくれた
理解ができなかったし悲しくもなかった
ただ自然と涙だけがあふれ何だろうと思った

それは僕が僕自身を守るためにかけた呪いであり
ずっとその中で生きてきた

母を姉だと思っていたのもそれがきっかけだったのだろう

その痛ましい現実が一気に押し寄せた

ずっと僕を守るために母は実在しない姉を演じてくれていたこともわかった

やっと全てが繋がった

でも繋がったそれはあまりにも残酷だった

姉と感じていた母に抱きしめられたとき
僕は全てを理解した

ずっと絶望の中にいたのだ

理解したと同時にもう出てもいいよと告げられた気がした


なんとなくそうしてもいい

そして出来ると思った

なんの根拠もない自信

生きていく上でそれが一番大事であり
そこには愛があるのだと思った


車いすの車輪にかかる手に力が入った

ゆっくりと母から離れていく

「ありがとう」

出たのは一言だけだった
それで十分だった

現実に自然と向き合えた
ゆっくりと着実に大切な時間の中を進んでいく

僕は立ち向かうため凍てつくドアをあける

もう何も怖くはないし誘われるように自然と外に向かう

ゆっくりとドアノブを回しほんの少し体にきゅっと力がはいるのを感じながらも前に出た


一歩踏み出すとそこは穏やかな春だった

心地よい太陽の暖かさが、穏やかな風が、春の香りが

そんなものが幸福といった形で僕を迎えてくれた


全てを包み込んでくれる

ありのままの自分

忘れたい過去

悲しい現実


そうかやっと出られたんだな


失ったものが大きい人は
それよりももっと大きなものを得る

その意味がわかった瞬間だった


恐るおそる車いすから立ち上がってみた

おぼつかない足取り

いつ倒れてもおかしくない

倒れたら起き上がればいい

自然とそう思えた

よろよろと

でも確実に光の中へと溶けていく

幸福の中にいる

これが自分の現実だった


新しい僕の世界は始まったばかり

自然と歩き始めたその先は美しい景色だった


僕は不幸だといった現実から

僕はずっと幸せだったんだ

そう変わった瞬間だった


ーーーー
読んでくれてありがとう

つながってくれてありがとう

これは20260206早朝に見た夢が勝手に文章化されて次々と出てきたので、久々にブログ記事にしてみたものです
勝手に出てきた物語やセリフでありフィクションです

でもなぜか色々かかってるんだよねー

しらんけど

名前の「かける」

欠損の「欠ける」

言葉を「かける」

呪いを「かけた」

車輪に「かかる」手

未来へ「駆ける」

20260206 夢 ストーリー

https://masapi21.com/books/

https://stock.adobe.com/jp/video/%E6%98%A5%E3%81%AE%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%80%80%E7%A5%87%E5%9C%92%E3%81%AE%E6%A1%9C%E3%80%80%E5%B7%9D%E9%9D%A2%E3%81%AB%E3%82%86%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%A8%E6%95%A3%E3%82%8B%E8%8A%B1%E3%81%B3%E3%82%89%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/513454726?prev_url=detail

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